犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者

児童ポルノ単純所持罪被疑事件(在宅・自白)について、児童性の鑑定方法(タナー法)に異議を唱えて、起訴猶予になった事例

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奥村 徹 弁護士が解決
所属事務所奥村&田中法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

画像掲示板が児童ポルノ公然陳列罪で検挙され、ダウンロードした者に対して、捜索差押が行われ、大量の児童ポルノ画像が押収されました。取調に対しては、所持の事実・児童であることは自白していましたが、画像数が多いので、公判請求を避けたい・罰金にして欲しいというご相談でした。「児童ポルノ事件に強い」と宣伝している地元の弁護士数人に相談されましたが、いずれも裁判経験が乏しく、具体的な方策がないということでした。

解決への流れ

児童ポルノ公然陳列罪・所持罪などでは、行為者は児童との接点がないため、行為者も警察も年齢を知りません。そこで、警察は画像の外見から小児科医に意見を求めて年齢を推定します(いわゆるタナー法)。しかし、タナー法は、小児科の現場で児童の成熟度を測定するための指標に過ぎず、画像から年齢推定するという使い方については信用性が有りません。無罪判決もいくつか出ています。(東京地裁H28.3.15、佐賀地裁R02.2.12 いずれも当職が関与しています)そこで、文献・裁判例を検察官に提供して、児童性の認定を慎重に行うように求めたところ、起訴猶予になりました。

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奥村 徹 弁護士からのコメント

単純所持事案は起訴率が高く、反省文くらいでは処分を軽減することはできません。罪体自体を削るしかありません。児童ポルノ事件の児童性の認定については、タナー法を争えば無罪・一部無罪となる可能性がありますから、捜査段階でも無罪判決につながった証拠(法医学鑑定、文献、裁判例)を用いて検察官を説得すれば、自白事件でも起訴を回避できる可能性が出てきます。児童ポルノの無罪事件に関与した経験が生かせた事案だと思います。