この事例の依頼主
男性
相談前の状況
父親の晩年、別居していた長男が突如同居しはじめ、遠方に住む二男である依頼主は不審に思っていたところ、父親の死後、長男は遺産の詳細を一切明らかにせず、「費用を差し引いたら分割する遺産は残らない」の一点張りで、遺産分割協議に応じようとすらしませんでした。
解決への流れ
父親の預貯金の取引履歴を調査したところ、長男が同居していた数年間に数千万円が出金され、相続開始時にはわずかな残高しか残されていなかったことがわかりました。そこで、相続開始時の預貯金残高だけではなく、父親の長男に対する不当利得返還請求権も遺産目録に記載し、遺産分割調停を申し立てました。
遠方にある実家=長男の住所地の裁判所が遺産分割調停の管轄裁判所でしたが、電話会議を活用し、現地には一度も行くことなく、4回目の調停期日に予想以上の代償金を得る内容で調停を成立させることができました。長男により出金された金員の大半が使途不明であることを徹底的に追及し、調停で解決できなければ依頼主の住所地の裁判所に不当利得返還請求訴訟を提起することを示唆したことなどが功を奏したと思います。