この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
都内住宅地に450坪の土地があり平成10年に父が,28年に母が他界。相続人は長女,二女,長男の三人で,父母存命中は,敷地内には父母の母屋の外,子供達3人の家がそれぞれ建っており,家族と暮らしていて,多い時で14人がここに暮らしていました。ほとんどの財産を長男にという遺言書は,父のものも母のものもあったのですが,長男はいずれもこれを開示せず,父の時は協議で分割し,土地は幾つかに分筆されましたが,分筆された土地も殆どが共有状態のままでした。
解決への流れ
依頼者である長女二女が,母の遺産について調停を申し立てると,長男は,遺言書を持ち出してきました。調停は全10回行われましたが,遺言どおりではなく,諦めず,粘り強く,解決可能な分割方法をいろいろ模索して行き,相手方と裁判所とを説得して,土地の一部は代償金の支払い,一部は持分売却等の法的処理も織り交ぜながら,最終的な,遺産分割が成立しました。
遺言があるからと諦めず,分割の道は必ず開けると信じて,いろいろな分割の方法,解決策を検討し,依頼者の利益を優先しかつ,相手方から最大の譲歩を導き出すぎりぎりの線を導き出し,合意に達するときは,訴訟で雌雄を決する時以上の醍醐味があります。問題解決に携わることが出来た喜びは,長年,調停委員を続けていて,調停成立の時の喜びと相通じるものがあります。